奴隷の姿

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 ぼさぼさだった髪はお陰様でまとまりを見せ、指通りも良くなり自然と気分が上がった。 待たせている龍さんに声をかけなければと、お風呂からあがってすぐ龍さんの部屋に急いだ。その部屋は私の部屋の二つ隣で、その前に立った私はすみません、と声をかけた。返事が返ってきたのを聞いて、私が先に入らせてもらったお礼を言うと、中から龍さんは 「どうだった?」 と顔をのぞかせた。  と、龍さんは私の顔を見るなり真顔になった。それを不思議に思ったものの、黙ったままでは良くないので、 「とても気持ちよかったです。」 と答えた。そんな私に龍さんは顔を近づけて、私の顔をまじまじと見た。 「なん、ですか?」 私の顔をじっと見たまま何も言わない龍さんにそう聞くと、龍さんは驚くことを口にした。 「君、かわいいね。」  突然そんなことを言われ、髪をぬらしたままの不格好で顔を合わせてしまったことへの申し訳なさはふっとび、恥ずかしさで顔全体に熱が帯びるのを感じた。 「な、何ですか急に。」 「いや、前髪被っててよく見えなかったけど、今はよく見えたから。」 真顔の龍さんは未だに私をまじまじと見ている。 「からかわないでくださいよ。」 「からかってないよ。」 龍さんは苦笑いした。 「私、お先に失礼しますね。お休みなさい。」  一刻も早くその場を離れたくて、龍さんの目をみないまま頭を下げ、さっさと自分の部屋に戻った。私が部屋に入るまで、龍さんはそこに立ったままの様子だった。  
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