奴隷の姿

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 食事を終えると早速私は掃除を始めた。正直埃がちらほら見受けられ、最近やっていなさそうだということはすぐにわかった。だから、急いで取りかかった方がいいと思ったのだ。  流石は料理をする人だ。調理場と食堂は、最近手入れしたようで、とても綺麗だった。借りている部屋も、使っていなかった割には埃が蔓延しておらず、だから水拭きが必要だったのは廊下だけだった。  早速掃除している私をみて龍さんは、 「ありがとな。」 とお礼を言ってくれた。家事をしてお礼を言われたことなんてなかったから、少し戸惑っていると、龍さんは片手を私の頭に置いて、髪をぐちゃぐちゃにした。 「何するんですか。」 困る私を見て、龍さんは笑いながら自分の部屋に戻っていった。 …本当に、あの人の考えていることはわからない。 せっかくまとめたのに、と思いながら、ぐちゃぐちゃにされた髪を戻して、私は再び掃除を始めた。
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