奴隷の姿

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 目が覚めると、家の中にいた。私を含む奴隷の子どもたちが押し込められている、いつもの小屋の天井が見えた。  私は生きていた。  少しぼーっとする頭が少しずつ回り始めて、私は一連の事を思い出してしまった。  いや、もしかするとあれは悪い夢だったのかも知れない。  だとすると、寝過ぎてしまったのか?  急がなければと体を勢いよく起こすと、腹部に激痛が走るのを感じた。見ると、私の腰回りに包帯がされていた。 そして、気がついた。  あれは夢ではなく、現実だったことに。  そして、私はあの男の子を殺してしまったことに。  人を殺めた事実に慌てるでもなく、ただぼうっとしていると、足音が聞こえてきた。扉の方を見ると案の定、それが開いた。その先に立っていたのは、まだ小さい奴隷の女の子だった。その子は私を見るなり驚いた顔を見せたかと思うと、扉を開けたまま走って行ってしまった。  既に私が人殺しだということが知れ渡っていて、そんな私が怖いんだろうかと考えていたのもつかの間、その子は誰かを連れて戻ってきた。それは、私よりも少し年上の、男の子の奴隷だった。 「やっと起きたのか。ご主人様がお待ちだぞ。」 そう言って男の子は私を催促した。そう言われれば急がなければいけない。私は慌てて立ち上がり、腹痛に耐えながらふらつく足で何とかその子について、ご主人様の元に向かった。  
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