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それからも、何度か売り買いされ、今のご主人様の下に行き着いた。
そのご主人様は中々の堅物で、厳しい。掃除をすると、きれいにしたつもりでも、汚れていると騒いでよく私を殴る。料理も、機嫌が悪い時はまずいと言って、全部ひっくり返す。そんなご主人様だった。
その家にはご主人様一人と、奴隷の私だけが住んでいる。
奴隷なんか買わずにさっさと嫁を探せばいいのに。
いつもそう思っている。女の奴隷一人しか置かないのも、夫婦ごっこのつもりなんだろうか。まあ、こんなお人だし、おまけに年も五十代とかなりの年齢だから、女も寄りつかないんだろう。そう考えると、少しご主人様が可哀想に思う。
嫁が居ないから、夜の相手もさせられることもある。それは今までに何度か経験があるので、多少のことは知っていた。
奴隷なんかと遊んで楽しいんだろうか。
普段はこき使って、殴っている相手なのに。本当に男はわからない。
私が殺人者であることは、あの事件当時使えていた家の人と奴隷以外、誰も知らない。私も、誰にも言っていない。言う必要もないし、言ったらどうなるか、想像がつかないからだ。だから、今のご主人様も知らない。
もし知ったら、どうなるんだろうか。
すぐに私を売り払うだろうか。
それとも、あの時のご主人様みたいに、気に入ってくれるんだろうか。
わからないけど、驚かれるのは間違いないだろう。
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