菜の花の誓い乙女

　酒の席。お通しは菜の花のお浸(ひた)しだった。
　大好物なので他の人の分も貰って食べていると、

「本当に好きなのね。こないだのお弁当のお裾分けでも一番に食べてたわよね」

　隣に座る部長が笑った。

「部長のお浸しも味染みてて美味しかったぁ。部長、お出汁しっかり取ってそう」

「取ってないわよ。あれね、めんつゆ」

「めんつゆなんですか？」

「めんつゆ使うのはただの手抜きだなんて、あれ誤解よね。食品会社の企業努力の結晶だもの」

「時短、お手軽以上に美味しいですもんね」

「私たちも同じ食品会社の開発部として、来年も頑張らなきゃね」

「お、なんだか忘年会らしい台詞ですねぇ」

　そう笑って、私たちはジョッキを傾けた。

【end】