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隣の女
「君を嫌いになった」
あなたの目は何故か濡れていた
あなたは私の視線をさけた
「誰かにそう言えと教えられたの?」
あなたは下を向いた
私はふられるのだろう
二人の写真は燃やされ
ペアリングは捨てられた
私の心は悲鳴をあげた
それあなたの意思でしてるの?
あなたの手は震えていた
あなたは焦っていた
隣に住む年上の女のために
ここ1ヶ月
付き合いの無かったお隣さんが
急接近してきた
「偶然会ったからあなたの彼氏と
行きたい所あるの借りていい?」
やけに大きな笑い声が
帰って来たことを告げた
「映画見ようよこっちの部屋においで」
料理にシャンパン
お隣さんは胸の谷間が見える服で
あなたの横に座った
「あなたん家のカーテン
もっと明るい色がいいわよ」
私がお茶を入れる間お隣さんのはしゃぎ声が
うるさいほど聞こえた
二人の写真を燃やされ
ペアリングを捨てられた次の日
私は荷物をまとめ実家へ帰った
私もあなたも無言だった
二人で過ごした6年の月日は
傷だけ残し呆気なく終わった
1年が過ぎた頃
あなたから電話があった
あの女と別れたと言う
私には関係ないよ
ごめんな
いや別に
辛かった悲しかった心が痛かった
本音を言えばいくらでもあった
けれどそれを言ってもどうにもならない
私はもう惨めになりたくなかった
あたしがこの1年したことは
昼と夜の間
声を押し殺し泣いたこと
毎日ただただ泣いたこと
数日後
お隣さんとすれ違った
彼女はずっと顔を伏せていた
私は何の感情もわかなかった
心は動かなかった
やっと傷が癒えたことを知った
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