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言っても詮無い愚痴が、繰り広げられる。
やるせない、
どうしようもない、
不毛な話は、お互い柄じゃない。
従って杯が重なる。
「オレ、真樹伯母さんに見捨てられたかな…」
テーブルの冷たさが、火照った頬に気持ち良い。
「チイ兄は大人なんだからいい加減、佑みたいに一人暮らしした方が良いよ!」
酔っ払った麗が、突っ伏してる俺の片側の頬をペシペシと叩く。
俺は目だけを動かし、麗を軽く睨む。
「はあ!?一人暮らしが嫌だって言ってないし!」
テーブルからユラリと上半身を起こし
「佑が来なくて寂しい~って言ってたのは、どなたかな~?」
意地悪く彼女の口真似をする。
アルコールが入り、リピートされる話題。
無益な応酬が、2人の間で交わされる。
「寂しくないもん!毎晩電話してるし!アッチの方も満喫してるし!」
段々ネジが狂ってく麗。
声高になり、店員がギョッとして振り向く。それに気付き、手振りで声を落とさせる。
俺自身も声量を絞り、
「それってセックス?」
滅多にない麗とのキワドイ会話。
「そっ」
ビンゴ!とばかり首を縦に振り、彼女はフゥと吐息を漏らす。
「…でもさっ、直に会いたいよ。気持ち良いのは一瞬で、蛇の生殺しだよ」
麗は悩ましい目つきで、あらぬ方を見つめる。
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