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過去
≪佑≫
出会った時から高野麗を好きだった訳ではない。
普通のクラスメート。
強いて言えば、女子にしては話しやすい。
俺も彼女もムードメイカー。
俺達の中学校は、2つの小学校が合流しているので、俺と麗はお互いの出身校をまとめていた。三年間ずっと一緒で、俺達がいたクラスは団結力が強かった。
俺は三男なので空気を読んだり、愛嬌を作るのは簡単に出来た。
ただ露骨にソレをやると嫌われるので、何となく相手が言って欲しそうな事、周りが求めてる事をさり気なく、した。
だから回ってくる役。
決して頭が良くて選ばれた訳じゃなかった。
しかし麗は違った。
陸上部の練習とかは1人で黙々とこなすクセに、学校行事の時とか、クラスの雰囲気を掴む声かけが絶妙だった。
『勉強、苦手~』といつも言っていたが、地頭は良かったハズだ。
彼女は商業高校に進学、その後は店を継ぐのが確定だったから、必要以上に勉強する意欲がなかっただけ。
向日葵みたいに真っ直ぐな性格。
彼女は自然に周囲の人々から、陽の連鎖反応を引き起こすのだ。
不思議に思って、聞いてみた事がある。
『麗お前、一人っ子だよな?どうしてそんなノリなの?』
『あ~父親に似てるのかな。商店街で父ちゃんイベント番長だもん』
そう返答した彼女は、屈託無く笑った。
(ま、色んなキャラが居るよな。)
それが俺の、彼女に対する最初の感想。
だけどサッカー部キャプテンの智生先輩と家が真向かい、幼馴染みと聞いて見る目が変わった。
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