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俺にとって智生先輩は、憧れの人だった。
昔から隣接する小学校の少年サッカー団に、凄いやつがいると噂になっていた。
なのでクラブチームにいくと思いきや、先輩は中学校では部活動を選択。
そして先輩が3年キャプテンの時、サッカー部は地区大会、都道府県大会、ブロック大会と躍進した。全国は1回戦敗退だったが、我が校にしては快挙だった。
俺は新入部員としてスタンドで応援し、誇らしかった。
又、先輩は高校を私立推薦じゃなく、公立進学高を受験すると聞き、俺も文武両道で頑張る!と奮起した。
なので麗ん家が先輩ん家と真向かいだと知って、先輩の日常を知り、俺自身のサッカースキルや勉強に役立てたいと、彼女に配信を頼んだ。
俺の兄達はサッカーセンスがイマイチで、練習相手にならない。それに二人共忙しい。
麗は
「何だかチイ兄の追っかけみたいだね」
と笑ったが、快く引き受けてくれた。
結局、俺達は引退するまで、先輩達が出した成果を更新する事は出来なかった。
麗や周りから、先輩が高校でも活躍してると聞いていたので、俺にとっては難関だが進学先は決まっていた。
俺は引退後スイッチが入り、家族や先生達を驚かせる程猛勉強した。
お陰で成績が伸び、ギリギリ合格。
「怖ッ、そのスイッチ凄いね」
と麗から冷やかされた。
うちの家族は思い込んだら凄いのだ。
ただ俺が高校2年生の夏、様々な事件が起きた。それが俺の転期となる。
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