『今更上品ぶるな馬鹿』

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「いや、君が生意気で可愛くて興奮してしまった。もう意地悪しない」 「恥ずかしかったけど、別に怒ってない」  髪を撫でられて目を細める。  優しく梳かれると気持ちが良くて、このまま眠りたくなる。 「じゃぁ、意地悪な事しても良い?」 「俺に嫌われる覚悟が有るなら」 「フォローしたら嫌いにならない?」  嫌いになどならない。  どちらも同じ海輝なのだから嫌いに成る筈がない。  それを知りながら探る様に言葉を交わす。 「優しいのが良い」 「じゃぁ、君に嫌われない様にうんと優しくするね」  そう言いつつも、きっと意地の悪さも発揮するのが海輝だ。 「性格に問題はあるが、お前が優しいのは六年前から知っている」 「出逢ったときからずっと?」 「そうだ。ずっとだ」  ずっと大好きな相手なのだから。  好きで堪らない相手ならば、同じ羞恥なら海輝に与えられるものの方が良い。
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