夕暮れの洗濯物

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 一人暮らしの身、毎日洗濯をする必要はないから、次の夕方は数日後であった。  でもそのときは先の黒猫のことなどすっかり忘れていたのだ。  同じように、夕方、洗濯物を取り込もうとして気付いたのである。  だって、道に黒猫がいたのだから。  別に黒猫なんてありふれているけれど、多少は印象的だったのか。あの猫だろうか、なんて思ってしまった。  猫はやはり、僕が洗濯物を取り込む様子をじっと見ていた。僕が戸惑ったのも同じである。  やはりそそくさと洗濯物を回収して、窓を閉めて、カーテンを引いた。またほっとして、僕は洗濯物をたたみはじめた。  屋根の上から、道端へ。  少しだけこちらへ近付いてきていた、と気付いたのはやはりカーテンを閉めてからであった。
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