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少女は、いつも窓辺に居た。
学校に行っているのか、そもそも何歳なのかもわからないけれど。
朝、起きた時も、家から出る時も、帰ってきた時も、寝る前も。
夜は月明かりの中、星が瞬く夜空を見上げ、日が出ているときには窓に凭れて目を瞑っていた。
いつも、長い脚を華奢な腕で抱え、そこに居た。
その姿は儚くて、美しくて、目が離せなかった。
───ある日、少女は向けられる視線に気づいたのか、ふと夜空を見上げていた視線がこちらを向いた。
目が合った瞬間、少女はふわりと微笑む。
その瞬間、高鳴った心臓。
甘く、痺れるようなその感覚は、一体なんと名付ければ良いのだろう。
胸元のTシャツを握りしめ、心地よい息苦しさを噛み締める。
彼女の視線は、すぐにまた夜空へとむけられてしまったが、暫くその姿を、まるで酔っているかのようにぽーっとする頭で見つめていた。
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