隣人

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 初めて踏み入る隣家。  洒落た門を開け、ゆっくりと敷地内に足を忍ばせた。  白い玄関の扉の横にあるチャイムを押すと、≪リーン、ゴーン、≫と、重い鐘の音がした。  ……出ない。  震える手で、恐る恐るドアノブを握る。 「…開いた」  引っかかることなく、がちゃりと開いた扉。  どくどくと耳元で、心臓音がうるさく響く。  唾を飲み込もうとするが、緊張と恐怖で口の中がカラカラだった。覚悟を決め、家の中に勢いよく飛び扉を引いた。  そこは西洋式の家で、靴を脱ぐ場所がなかった。  そのまま階段を駆け上がり、一つだけ閉まっている扉を開け、中に入り込む。
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