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家に持ち帰った後、改めて人形を見てみた。
色んな縫い方をされており、目の大きさや形も微妙にズレていて少し雑な感じがしたが手作り感があっていいと思う。
食べ切れなかった冷たいドックを食べながら見つめる。
「ただいまーいないのー?」
買い物から帰ってきた母の声が聞こえてきて、机にドックと人形を置いたまま玄関へ向かった。
しばらくして部屋に戻ると、机の上に置いてあったドックが棒だけになって転がっていた。
「あれ?私全部食べたっけ?」
『ゲフッ』
近くでゲップのような音が聞こえた。
そういえば、一緒に置いた人形が無くなっている。
辺りを探してみると、机の下から人形が見つかった。
「ここにいたんだね。」
見つけた人形を持ち上げてみると、心なしか先程より重くなっているような気がする。
それに、人形の口元にドックの食べかすらしきものがついていた。
まるで、人形がフランクフルトを食べたかのような様子だった。
「食べた?」
『……。』
思わず話しかけてしまったが、当然人形が喋る筈もない。
疑問に思いつつも、食事の時間なので人形を置きリビングへ向かおうとドアに手を掛けた。
『口の中…パッサパサ。』
小さい声だが、確実に言葉として聞こえた。
後ろを振り返るも異変はなく人形は机の上にいる。
そのまま部屋から出たが、気になってしまい父の猪口に水を入れて人形の元に置いてきた。
気のせいだろうけど、念のために。
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