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「にっちゃんも神ちゃんの家の事情知ってるからな。やってる可能性あるからなー」
「もう、だからやってないって!」
阿南が否定しても、キョージンは疑わしげにあごを触った。
「そこでだ。絶対に忖度できない人にかけてみよう。そしたら神ちゃんの魔法が本物だって信ぴょう性が高まるわけ!」
「魔法じゃないけどな」
話がまとまったところで、さて。じゃあ誰にかければいいのか。
3人で頭をひねる。
「アキラは?」
そう言ったキョージンの視線の先を追う。
教室の中央列後ろの席にたむろしているのは、クラスでも派手な男女グループだった。背が低く痩せ型で、バッチリキメたツーブロックヘアの山根 彰はその中にいた。
しかし彼はグループの中心人物というわけではない。おれから見ても“浮いている”存在だった。
それは彼の個性が強いせいだろう。強面どおりのキツイ性格は、ゆるふわゆとりグループにはミスマッチなのである。
今風イケメンでもない。かといってお笑い系にも徹せないプライドの高さで、本当に金魚のアレを思わせるのだが、スクールカースト上位にはどうしてもしがみつきたいらしい。
ほかに探せば気の合う奴らはいそうなんだけど、まあ、他人が口を出すものでもないしな……っと、おれの歯に絹着せない分析終わり。
「声かけるとか、無理」
スッと無表情のまま前を向いておれは拒否した。
声かけたって「はあ?」って睨まれるのが関の山。
確定したデッドエンドに向かうマゾヒズムは生憎持ち合わせておりません。
「あたしが声かけよっか?」
臆することなく阿南が手を挙げた。
さすが陽キャで学級委員長。おれには絶対にマネ……。
「だから一緒にっ、ね?」
阿南は立ち上がりながら、おれの腕を引く。
ひいぃ、触っ……てか、え、マジですカ。
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