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条件反射だった。
ぽかんと目を丸くする桑田さんを無表情で見据える。
落ち着け、と心で唱えるも5秒ももたなかった。
自分の口から、抑えきれなかった言葉がどろりと溢れ出す。
「そうやって、非科学的なことをまことしやかに仕立てて……何も知らない人から金銭を巻き上げるなんて。汚い人ですね……」
冷え切った声だと自分でも感じた。
普段、ここまで感情的になることはめったにない。隣でキョージンは黙っているけど、きっと豹変したおれの様子に戸惑っているのだろう。
しかし目の前のマジシャンはこの状況でカラカラと笑った。
「おや? 君、もしかして催眠術がオカルトだと思ってる?」
相手の空気の読めなさに眉をひそめるおれを、さらにからかうように、
「日本では馴染みがないけど、イギリスのキャサリン妃も自身の出産に催眠を取り入れているというのは近年の話。ロイヤルファミリーだって使っている催眠は、科学的に説明できるものなんだよ?」
そう言うと得意げに、斜め45度の角度でどや顔を見せつけてきた。
とてもうざかったが、それよりも気になる言葉があった。
「科学的、に?」
「あっらー、賢い子かと思ったけど知らないのぉー? やっぱり中身は子どもだね! まあ来なよ、教えてあげるから」
「は、でも、催眠術なんて……!」
ずいと迫ってくる桑田さんの圧力に困り、キョージンに目で助けを求める。
「そいえばー、さっきのバッティングセンターの罰ゲーム決めてなかったよなー。神ちゃん、催眠術を教えてもらって来たら? そんで明日、学校でたっぷり話聞かせてくれい!」
所詮は3週間に一度くらいしか関わることはない。それがおれたちの関係。
キョージンはにんまりと笑うと、ひらひらと手を振った。この人でなしめ……。
「よーし、じゃあレッツゴー!」
「う、嘘だろぉ……」
思わず情けない声が漏れる。
おれは頭に鳩を乗せた怪しいおじさんに手を引かれ、怪しい雑居ビルの一室へとドナドナされて行ったのだった……。
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