2話・1日で催眠術師になれたら苦労しない

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「いいけど、かからないと思うぞ……」  昨日一日そこらで教わった技術で、期待に応えられるのか自信はない。 「いい、いい。やってみたかったし!」  まぁ、システムは気になるか……。 「……んじゃなにやる?」  やれやれと腹を据え、おれが机の上を片付けている間、キョージンはあごに指を当てて考えていたが、 「いや、初めてだからわからん。すごいやつで」  と、最後にはいい笑顔でぶん投げられた。 「……じゃあまず予備催眠からかけてみるな。腕を伸ばしてぶらぶらして、体から力抜いて……」  昨日と同じく前の席に座って腕をぶらぶらと揺すり、さらには首を回しながら、キョージンはおれの動作を注意深く見ていた。 「5円玉とかは使わんの?」  椅子に座ったまま、指示するだけで一切動かないおれに問いかける。 「教わってないけど……あれがよかったのか?」 「むしろあれ以外でできるのがびっくりだよ! おもしれーな」 「楽しそうでなによりだよ。じゃあちょっとこれから集中してくれ」  話しながらだと暗示はかけられないらしいので、ひとまず黙らせた。
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