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「いいけど、かからないと思うぞ……」
昨日一日そこらで教わった技術で、期待に応えられるのか自信はない。
「いい、いい。やってみたかったし!」
まぁ、システムは気になるか……。
「……んじゃなにやる?」
やれやれと腹を据え、おれが机の上を片付けている間、キョージンはあごに指を当てて考えていたが、
「いや、初めてだからわからん。すごいやつで」
と、最後にはいい笑顔でぶん投げられた。
「……じゃあまず予備催眠からかけてみるな。腕を伸ばしてぶらぶらして、体から力抜いて……」
昨日と同じく前の席に座って腕をぶらぶらと揺すり、さらには首を回しながら、キョージンはおれの動作を注意深く見ていた。
「5円玉とかは使わんの?」
椅子に座ったまま、指示するだけで一切動かないおれに問いかける。
「教わってないけど……あれがよかったのか?」
「むしろあれ以外でできるのがびっくりだよ! おもしれーな」
「楽しそうでなによりだよ。じゃあちょっとこれから集中してくれ」
話しながらだと暗示はかけられないらしいので、ひとまず黙らせた。
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