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翌日の1限終わりの休み時間。
窓際の俺の席に座ったキョージンは、窓に背中をつけ、日光を背負いながら重々しげに手を組み目をつむっていた。
おれと阿南はキョージンに向かい合うように座っていた。
しかし呼んでおいてなかなか話し始めない。
おれはいいけど……友だちの多い阿南は忙しいだろうし、早く用件を終わらせたい。
「……俺たちはすごいカードを手に入れたわけだが」
やっと目を開けたかと思うと、キョージンは惚けるようになにもない宙を見つめた。もったいぶった挙句に、よくわからないことを言い始めたな……。
「それはっ……神多くんの催眠術のことだね!?」
「そうだ」
って通じているんかい。阿南はノリいいな……。
キョージンはうれしそうにうなずくと、身を前に乗り出し、いつもの調子に戻った。
「にっちゃん、がっつりかかってたよね!」
「うん。びっくりしたー!」
「え。阿南さん、あれマジでやってなかったの?」
「それかけた人が言うんだ!? やってないよ!」
ついでに聞いたら思い出したのか、阿南が真っ赤になって抗議した。
若干涙目になっていて、おれのせいだけどちょっと不憫。
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