3話・コミュ障が催眠で治るわけがない

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 翌日の1限終わりの休み時間。  窓際の俺の席に座ったキョージンは、窓に背中をつけ、日光を背負いながら重々しげに手を組み目をつむっていた。  おれと阿南(あなん)はキョージンに向かい合うように座っていた。  しかし呼んでおいてなかなか話し始めない。  おれはいいけど……友だちの多い阿南は忙しいだろうし、早く用件を終わらせたい。 「……俺たちはすごいカードを手に入れたわけだが」  やっと目を開けたかと思うと、キョージンは惚けるようになにもない宙を見つめた。もったいぶった挙句に、よくわからないことを言い始めたな……。 「それはっ……神多くんの催眠術のことだね!?」 「そうだ」  って通じているんかい。阿南(陽キャ)はノリいいな……。  キョージンはうれしそうにうなずくと、身を前に乗り出し、いつもの調子に戻った。 「にっちゃん、がっつりかかってたよね!」 「うん。びっくりしたー!」 「え。阿南さん、あれマジでやってなかったの?」 「それかけた人が言うんだ!? やってないよ!」  ついでに聞いたら思い出したのか、阿南が真っ赤になって抗議した。  若干涙目になっていて、おれのせいだけどちょっと不憫。
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