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圦本明夢……。
彼女も少し……というかかなり変わっていて、クラスでも浮いた存在だ。
あの学級委員長でコミュ強の阿南ですら喋ったことがないと言うくらい、圦本は大人しいの範疇を超えた超無口女子だ。
授業でも頑なに喋らないため、先生も板書しか当てないようになってしまった。
おれも大概喋らないけど、なんだかんだ空気読んで発言するから、無口を貫く圦本には一目置いている。
「たしかに、圦本だと忖度は絶対ないな」
キョージンもひざに腕をついた前傾姿勢で、ニヤリとカッコつけていた。
「でもいちばんは、圦本さんとコミュニケーションが取れたらいいなって思うんだよね」
優等生から出る純度の高い聖人君子ビームがまぶしすぎて、隣を直視できない……。
ともあれ、おれもこの人選に意義はなかった。
「みんな同意? じゃあ聞いてみる!」
阿南は颯爽と席を立つと圦本に話しかけに行った。
おそらくひとりで喋っているだろう後ろ姿を、二人で見守る。
それから少しして、阿南と圦本が一緒に振り返った。
不安そうな表情の圦本にまた何か一言話しかけたあと、頭の上へと手を伸ばし、大きく丸を作ると眩しい笑顔まで添えてくれたのだった。
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