3話・コミュ障が催眠で治るわけがない

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+++  阿南へかけた催眠術でもわかったように、休み時間では時間が中途半端になりそうだったので、昼休みに集まり直すことにした。  静かな場所の方が集中できそうだなと言うと、「わかった、まかせて!」と阿南が職員室で掛け合って、空いていた視聴覚室を借りてきてくれた。  話しかけるのも部屋を取るのも、全部阿南におんぶ&抱っこだけどいいのか……?  準備して圦本を待つ間、阿南とキョージンの談笑に入りづらくてひとり椅子の角度とかをなんとなく直したりして時間をつぶしていると、ドアがゆっくりと開いた。  注目されるのが居心地悪そうに、圦本が入ってくる。 「こっちこっちー!」  阿南が手招きをする。  硬い表情を崩すことなく、圦本はおれたちの前に立った。 「……」 「……」 「おまえが趣旨説明するんだって!」  つい相手につられて黙っていると、キョージンに背中を叩かれた。
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