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「やる! わたし、書く。母上と父上のお話」
アデリナとオリヴァーは、あたたかな笑顔をうかべる。
「じゃあ、私も両親に取材してみようかな」
「いいの?」
「ええ。私からの方が、口を割ってくれそうでしょう」
オリヴァーに視線を向ける。
「わかりました。俺も父から話を聞いてみます」
ふつふつと内側から熱がわき起こる。皆の協力を得られるのであれば、さらによい書物になりそうだ。ならば、もっとよい方法があるではないか。
「そうだ! 旅にも出てみよう」
二人同時に、目を丸くする。意外な提案であったらしい。
「母上と父上が歩んだ道を、実際に歩いてみるの。話だけではわからないものが、あるかもしれないから」
ふふ、と、アデリナがわらう。オリヴァーは半ば、困り顔だ。
「殿下らしいですね。いいんじゃないでしょうか」
「過保護な皇配殿下が、ゆるさないんじゃないか」
たしかに父上が、いい顔をしないかもしれない。顔の前で手を合わせた。
「お願い。口添えしてほしいの」
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