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二人は顔を見合わせてから、「もちろん」とうなづいてくれた。ただアデリナは母の弟子になるから、一緒に旅は出来ないようだ。そろそろ皆、誰かの弟子として働く年齢にさしかかっている。仕方のない話だ。城で働く官吏の子は、だいたい親を師とする。
オリヴァーも、入門するのかと見上げる。
「俺は家を継ぐつもりがございませんから、弟子入りしませんよ」
うれしさがこみあげて、手を握りしめる。
「本当? よかった。騎士であるオリヴァーが一緒なら、心強いわ」
殿下を守れるのは俺しかいませんから、と、頬をほんのり染めて茶色の瞳を外す。軍靴の音が近づいてきて、顔を向けると父レイヴァンが立っていた。
「ずいぶんな自信だな。オリヴァー」
「こ、皇配殿下!? いかがなされたのですか」
あせるオリヴァーのとなりで、アデリナが笑いをこらえている。
「あのね、父上。わたし、夢が出来たの。それで……」
「旅に出たいのだろう。かまわないよ」
「いいのですか?」
意外にもあっさりと、許可が下りた。
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