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「会話はぜんぶ、聞こえていたからね。そのかわり、オリヴァー。娘をあずけるのだから、この最高司令官と互角に渡り合えるくらいには強くなってもらわないと」  無茶を言う。というか、旅に行かせるつもりがないのではなかろうか。邪推をしてしまっても、仕方がない。父にかなう人なんて、存在するのであろうか。  二人を交互にながめていると、肩をたたかれる。母上だ。 「レイヴァン。エリスの子を、いじめちゃだめよ。まったく旅に行かせるつもりなんて、これっぽっちもないんだから」  父上は母上に弱い。考え込んで、にがい顔をうかばせている。 「ですがマリア、娘を強くもない者にあずけられますか」 「オリヴァーを正騎士に任命しようとするほど、実力を認めている人の台詞とは思えませんね」  くすくす、と、母はわらう。父は押し黙ってしまった。 「正騎士? オリヴァーが?」  おどろいて、まじまじ見つめてしまう。 「ええ。今度の新しい正騎士承認の議で、選ばれる予定よ」 「取り消します」 「大人げないわね」
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