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「は、…ぁ…みつ…る、光流…!く、るひぃ…」
「んー、?」
「ぅ、…ん、んっ」
体の隅々までチェックされてる俺。
なんかもう怖くなって、嫌われたくもなくて、されるがまま…言われるがままに許してしまった。
「指離しちゃダメだろ」
「ぁ、っう…ふ、」
グッと口に光流の長い指が入ってて、もうなんの辱めを受けてるのかわからない。
でも光流の声が鋭くて、すごく
怖い
今日なんで日直だったんだろう。
なんであそこで許してしまったんだろう。
俺が悪いのかな、皆俺のせいで怒ってる、?
先生にも…親衛隊がいる。
何されるんだろう、嫌だな…
もうグルグルしてきて、震えも出てきた。
「なに、?なんで泣いてんの」
不意に光流の手が口元から離れた。
「や、…ごめん、ごめんなさい…泣かない、泣かないから」
俯いたら、また怒られるだろうか。
顔をあげなきゃ…
でも今顔を見る勇気はない。
そんなことばっかり考えてたら
背中に手が回された。
「悠、悠違うんだよごめん」
「う、ごめんなさい…次は気をつけるから…」
「悠…俺勝手に嫉妬しちゃって…ごめん…怖かったよな」
そう言って背に手を当てる光流はいつもの光流だ。
でもそれだけじゃ安心はできない。
今日のことで、もし皆が怒ってたら?
俺に理由が分からなくても…皆にはわかる。
それがすごく辛い。
「ごめん…悠、大丈夫だから」
光流も、怒ってた理由なんか教えてくれない。
なんで怒られてるのかも分からない。
「…う、…」
ぐるぐるぐるぐる
考えても考えても答えは見えない。
背中をさする手が止まる
「光流、?」
「これもタブーかもしれないけど…俺、悠のこと好きだよ」
「え、うん…俺も好きだよ嫌いなわけない」
「そうじゃなくてっ…はぁ…」
呆れられてる?
俺何かしただろうか。
要領を得ない俺に、愛想が尽きたとか…?
「あ、あの…ぅんっ…?」
「ぇ、ぅ…ん…ぁう」
弁解しないとと思った矢先に唇を塞がれるとは誰も思わないだろう。
「ん…っう…は、ぁ」
「俺の、好きはこういう好きっていうか…」
「…え、…っと…」
それはつまり
そういうこと…?
光流に告白された、のか
なるほど…。
…え、えええええええ!?
「お、俺!男…っていうかその、そういうの良く分かんなくて…!」
ここ男子校だし!とか言いそうになったけど。
それを踏まえて言ってるのだろう…。
言われた言葉を理解した瞬間、恐怖は消えていて。
代わりに混乱が訪れる。
俺は、この箱庭から出たことがない。
俺は…純粋な好きを知らない。
恋愛ってもの自体…分からない。
テレビで見たことがある程度の知識しかなくて、こういう時どういえばいいかも分からない。
嫌いなわけじゃないし、かと言って俺の好きとは違うらしいし。
断ってギクシャクするくらいなら…とも思う
でもそれじゃ違うんだろうってことは分かる。
「ずるいこと言っていい?」
「え、?」
また変な空気…。
「さっき俺にされた事嫌だった?」
「えと……ビックリは、したけど…嫌じゃない」
「じゃあ俺の気持ちってか、言われて嫌?」
「そんなことないっ!けど、分からなくて…」
「…俺これからこういう事するかもよ?」
「こういう、?」
「また悠のビックリするようなことするかもってこと」
「あ、…う、うん…?」
ずるい?のかな?これ
ずるい事ってなんだろ…。
「ずるい事って、?そのこと…?」
「んー、分からないんだろ?だったら分かるまでこういうこと悠にしたいなって、俺欲張りだから別に我慢もしないし、なんなら流されてくれればいいのにって思ってる」
「え、えっ…」
「こういう事以上もしていい?」
ニコッと爽やかに笑う光流には
迷いがない。
嘘ってわけでもなさそう…
でもこれYESって言ってもNOって言ってもアウトラインなんじゃ…。
「え、っと…知識つけます…」
「ぷっ…あはははは!!知識か、確かに知識つけてもらいたいわ!じゃあそれは肯定って受け取るからな?」
やっぱりそうなるのか…
こ、こういうの漫画でしか見た事なかった…
自分の身に起こるなんて、どうすればいいんだろ。
(ドンドン!!!)
「げ、来た」
変な空気のまま時間が過ぎた頃、玄関がものすごい勢いで叩かれた。
「え、なに…?!!」
「多分俺の予想が当たってるな…」
予想、?
⌜おい!!開けろ!!!!⌟
⌜籠城ですか、いい度胸ですねこのドアぶち壊しますよ⌟
え、誰?!!!
…知らない人達…?!
「悠、ちょっと待ってて」
「あ、う、うん…」
スタスタと玄関に向かう光流は肩を落としていた。
なんだろう、取り立てみたいな…。
そんなわけないか。
ドラマの見すぎ、?
「はいはー…うわ!!!?」
(ドン!)
(ガタッ)
「え、!光流!?」
光流の声が響いて、思わず玄関へ走る。
そこには思いもよらないメンバーがいた。
「せ、生徒会…!?なんで…」
「悠…!」
いきなり和が抱きついてきた。
おはようって言いそびれちゃった。
「和っ…!!」
「って悠!なんでお前そのまま…!!」
「え?」
光流が焦りながら大声をあげる。
光流の必死さに「…?」と自分の格好を改めて見て…
「わ、わっ…や、これは…!!」
上は第3ボタンまで開いて、腕にシャツが落ちてきてる。
ズボンはベルト外れたまんま。
つまり
襲われた後みたいになってる――――?!
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