第十九章「決別か、和解か」

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伊藤さんが来たことは、とりあえず内緒にしてほしいと頼んだ。 善君には私から、優一おじさんには栞おばさんから、それぞれ落ち着いたタイミングを見計らって話す。 栞おばさんは、快く了承してくれた。 それに、綾人さんと私が交際していることを伝えたその瞬間から、そのことで頭がいっぱいのようだった。 「本当に本当によかったわ!綾人君、梅ちゃんをよろしくね」 「はい、しっかりと梅ちゃんを守っていきます」 「善は知ってるの?」 「善君にはもう伝えました」 「そっか二人が…やだどうしよう、嬉しくてニヤけちゃうわ!綾人君になら、大切な梅ちゃんを安心して任せられるし」 予想以上に、栞おばさんは喜んでくれた。蓮水家の人達は皆綾人さんのことが大好きだから、きっと反対はされないだろうと思っていたけれど。 こんなに喜んでいる姿を見ていると、妙に気恥ずかしい。 「梅ちゃん、今日はウチのことは気にしなくていいから!」 「え、でも」 「綾人君とゆっくりしてきたら?ね?今日は彼女のことはあまり考え過ぎないで」 「梅ちゃんがいいなら、俺はそうできると嬉しいな」 私の隣に立つ綾人さんは、笑いながらそう言った。 「いいんですか?栞おばさん」 「もちろん。梅ちゃんももう二十歳になったんだから、私達に遠慮する必要なんてないんだからね?」 「ありがとうございます」 「気を付けて楽しんできてね」 嬉しそうな栞おばさんを見て、私まで顔が綻んだ。
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