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伊藤さんが来たことは、とりあえず内緒にしてほしいと頼んだ。
善君には私から、優一おじさんには栞おばさんから、それぞれ落ち着いたタイミングを見計らって話す。
栞おばさんは、快く了承してくれた。
それに、綾人さんと私が交際していることを伝えたその瞬間から、そのことで頭がいっぱいのようだった。
「本当に本当によかったわ!綾人君、梅ちゃんをよろしくね」
「はい、しっかりと梅ちゃんを守っていきます」
「善は知ってるの?」
「善君にはもう伝えました」
「そっか二人が…やだどうしよう、嬉しくてニヤけちゃうわ!綾人君になら、大切な梅ちゃんを安心して任せられるし」
予想以上に、栞おばさんは喜んでくれた。蓮水家の人達は皆綾人さんのことが大好きだから、きっと反対はされないだろうと思っていたけれど。
こんなに喜んでいる姿を見ていると、妙に気恥ずかしい。
「梅ちゃん、今日はウチのことは気にしなくていいから!」
「え、でも」
「綾人君とゆっくりしてきたら?ね?今日は彼女のことはあまり考え過ぎないで」
「梅ちゃんがいいなら、俺はそうできると嬉しいな」
私の隣に立つ綾人さんは、笑いながらそう言った。
「いいんですか?栞おばさん」
「もちろん。梅ちゃんももう二十歳になったんだから、私達に遠慮する必要なんてないんだからね?」
「ありがとうございます」
「気を付けて楽しんできてね」
嬉しそうな栞おばさんを見て、私まで顔が綻んだ。
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