花のほほえみ 星のこえ

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ハルコさんのスマホが鳴る。 こちらに向けてくれた画面にはガッツポーズをするクマがいた。色はサーモンピンク。 (熊だから、サーモン??) などとくだらないことを考えていると、今度は、私のスマホが鳴った。 (何時頃つくの?) 用件だけの母からの不器用なメッセージ。きっと食事の用意をしてくれるのだろう。祖母譲りの少し味の濃い手料理。文句を言っていたくせに、だんだん似て来るのだから不思議だ。 返事を送り終えて、名残惜しい気持ちで、ハルコさんに、先に失礼することを伝える。 「おかげで楽しかったわ、ありがとう。」 「こちらこそ。…お孫さん、いつかなれるといいですね、エトワール。」 「そうね。でも、わたしは、ただ楽しんでくれていればそれでいいの。あの子が好きなことを楽しんでくれればそれで。」 私は、はっとした。 「そう…ですよね。本当にそうです。」 ここのところ何となく塞いでいた理由、それは… 「あなたも、楽しんでね、音楽。楽しんで、頑張って。」 大好きな音楽。仕事になった音楽。楽しいはずの音楽。想いに変わりはないけれど、でも…。私は、背中を押して欲しかったのだ。そして誉めて欲しかったのだ。
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