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「あの子は私の自慢なの。」
そういうと、ハルコさんは、とても幸せそうに笑った。その笑顔が素敵すぎて、何だか切なくなる。
駅前の緩やかな上り坂の途中にある花屋に並列されたカフェ…というか花屋の一角にあるカフェスペースで、私とハルコさんは、かれこれ30分は話している。
* * *
実家へ向かう道すがら、ふらりと立ち寄ったこの店で、カフェラテをお供にぼんやりしている私の前に、―カランコロンカラン、と、もうこれしかないよね、というドアベルの音ともにハルコさんは登場した。
そして、さもお気に入りの席という感じで私の一つ隣りの席に座った。こちら側を向いて。自然と目が合ってしまい、とりあえず会釈をする。
「ごめんなさいね。でも、私、この向きじゃないと座れないの。」
と、謎の言葉を発してハルコさん―快活そうなご婦人はカラカラと笑った。
少しして、注文した様子もないのにハルコさんに珈琲が届く。小振りのローズピンクのカップが、なんだか彼女によく似合っていた。
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