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記憶のない朝
あったま、いった〜……
目が覚めると同時に、酷い頭痛を感じて眉間にシワを寄せる。
うっすら目を開けると、まだ薄暗いことがわかった。
今何時だろ……
ぼんやりしてなかなか視界がクリアにならないが、時計を確認しようとして、違和感を覚える。
え……ここ、どこ?
見覚えのない景色に、自分の家ではないと気づく。
不安に思いながらも、目だけを動かして部屋を見渡す。
その時、視界に入ったものに目を疑った。
手……?
え?!待って!
誰かいる!
横向きに寝ている自分の首の下から誰かの腕が伸びていて、いわゆる、腕枕された状態だった。
ウソ?!なんで?!誰?!
パニック状態のなか、見える誰かの手を観察する。
その指の長さや質感から、男性の手だとうかがい知れる。
後ろにいる人物が誰なのか気になりながらも、ふとイヤな予感がした。
この状況だとどうしても確認したくなる。
自分が服を着ているのかどうか。
その時、うしろにいる人物がこちら側を向きつつ、もう片方の腕がお腹のあたりにゆるりと回された。
ひゃっ!!
声までは出さなかったものの、体がビクッと反応してしまった。
「ん?……起きてる?」
すぐ後ろから聞こえてきたのは期待を裏切らず男性の声で、こんな状況にも関わらず、ちょっとかすれたその低い声は好きな部類の声だな、なんて暢気に思ったりして……
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