258人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
ありえない
「ありえない! ありえない!」
頭の中はぐちゃぐちゃだったけど、どうにかこうにか自分の家に帰ってきた。
イライラするのでサッパリしたくて、シャワーを浴びようとバスルームへ。
しかしそこで、鏡に映る自分の姿を見てびっくりする。
「え!?なんで……」
胸が何か所か赤くなっている。
キスマークつけられた!?
「ありえないっ!!」
一般論において、キスマークは自分の所有物だと主張するためとか、嫉妬心からつけられるものだと理解している。
私たちは昨日会ったばかりだ。
それならこのキスマークの意味は?
ただのイタズラ?
もしくは俺のセフレだって示したいの?
なんにせよ、出会って間もない女相手にこんなことするなんて、信じらんない!
朝は結局、体を許しちゃったけど、好きだとかそんな言葉はなかったし、はじめから体が目的だったのかもしれない。
まあ、あの場で好きだと言われても到底納得はできないけど。
そうだよ!
やけにいろいろスマートな対応だったし、なんか慣れてるっぽかったし。
一度そういう考えをしてしまうと、もうセフレ候補として相手されてたとしか思えなくなった。
動揺しながらもシャワーを浴びて、自分を落ち着かせる。
自分だって昨夜の記憶がないのだから、彼だけを責めるのも違う気がするが。
でもやっぱりフツフツと怒りが湧いてくる。
私が誘った?!
好きでもない初対面の人を?!
そんなことするわけない!
私が覚えてないからって好き勝手言ってくれちゃって。
きっと私が酔ってたから、介抱するフリして甘い声をかけてきたんだわ!
それで、抵抗する力がないのをいいことに、ヤッちゃった、と。
しかも、何?!
な~にが、めちゃくちゃヨがってたし、よ!
…………
確かに凄い気持ち良かったけど……
……あいつ、テクニシャンなの?
そうか!遊んでるから、女の扱いにも慣れてるのか!
それにまんまと引っかかっちゃって…
あぁ〜もう〜!!
自分にも腹が立つ!
「もうホント!ありえなーい!!」
最初のコメントを投稿しよう!