ありえない

1/5

258人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ

ありえない

「ありえない! ありえない!」 頭の中はぐちゃぐちゃだったけど、どうにかこうにか自分の家に帰ってきた。 イライラするのでサッパリしたくて、シャワーを浴びようとバスルームへ。 しかしそこで、鏡に映る自分の姿を見てびっくりする。 「え!?なんで……」 胸が何か所か赤くなっている。 キスマークつけられた!? 「ありえないっ!!」 一般論において、キスマークは自分の所有物だと主張するためとか、嫉妬心からつけられるものだと理解している。 私たちは昨日会ったばかりだ。 それならこのキスマークの意味は? ただのイタズラ? もしくは俺のセフレだって示したいの? なんにせよ、出会って間もない女相手にこんなことするなんて、信じらんない! 朝は結局、体を許しちゃったけど、好きだとかそんな言葉はなかったし、はじめから体が目的だったのかもしれない。 まあ、あの場で好きだと言われても到底納得はできないけど。 そうだよ! やけにいろいろスマートな対応だったし、なんか慣れてるっぽかったし。 一度そういう考えをしてしまうと、もうセフレ候補として相手されてたとしか思えなくなった。 動揺しながらもシャワーを浴びて、自分を落ち着かせる。 自分だって昨夜の記憶がないのだから、彼だけを責めるのも違う気がするが。 でもやっぱりフツフツと怒りが湧いてくる。 私が誘った?! 好きでもない初対面の人を?! そんなことするわけない! 私が覚えてないからって好き勝手言ってくれちゃって。 きっと私が酔ってたから、介抱するフリして甘い声をかけてきたんだわ! それで、抵抗する力がないのをいいことに、ヤッちゃった、と。 しかも、何?! な~にが、めちゃくちゃヨがってたし、よ! ………… 確かに凄い気持ち良かったけど…… ……あいつ、テクニシャンなの? そうか!遊んでるから、女の扱いにも慣れてるのか! それにまんまと引っかかっちゃって… あぁ〜もう〜!! 自分にも腹が立つ! 「もうホント!ありえなーい!!」
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

258人が本棚に入れています
本棚に追加