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夢うつつ
ドキドキしたまま、進藤さんの住むマンションに着く。
「進藤さん!着きましたよ!」
タクシーの精算をして、進藤さんを支えながらマンションに入る。
部屋がどこかなんて覚えてないよ~。
しかし、私の心配は他所に、進藤さんの足は自分の家へと向かっているようだ。
部屋の前で鍵を取り出した進藤さんだったが、なかなか鍵がささらない。
見かねて私が鍵を開け、部屋の中に入る。
重かった~。
玄関で座り込む進藤さん。
手探りで電気のスイッチを探し、明かりをつける。
「ん~~」
あ、まだ安心するのは早かった。
「進藤さん、起きて!もう少し頑張って。こんなところで寝たら、風邪ひいちゃう!」
玄関に転がってる進藤さんの靴を脱がせ、腕を肩に担ぐ。
寝室、どっちだっけ?
朧げな記憶を辿り、なんとか進藤さんをベッドに下ろす。
「ふう~」
さて、これからどうしようかな……
こんな状態じゃ話なんてできないし。
リビングに戻り、改めて見てみると、なんだか物が散乱している。
前来た時は片付いてた気がするけど…
進藤さんがここまで酔っぱらうのは珍しいと言っていた。
なので、様子が気になり、なんとなく帰りづらい。
どうしようと悩みつつ、散乱したリビングをそれとなく片付けていると、寝室から咳込む声が聞こえた。
「進藤さん?大丈夫ですか?」
「ゴホッ、ゴホッ……」
「あ!ちょっと待っててください」
何か飲ませた方がいいだろうと、キッチンに足を踏み入れる。
少し迷ったあと、ごめんなさい、勝手に開けます、と心の中で謝って冷蔵庫を開ける。
ちゃんと食べているのだろうか。ろくなものが入ってない。
ペットボトルのミネラルウォーターがあったので、それを一本取り出して寝室へ戻る。
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