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「はい、どうぞ」
ペットボトルを差し出すと、進藤さんがゆっくり体を起こし、一気に半分ほど飲み干す。
それからぼーっとした目で私を見て言う。
「あれ?おかしいな。志桜里が見える。……なワケねーか。夢か……」
「あの、進藤さん?」
呼びかけは無視して、進藤さんの手が伸びてきた。
と思ったら体を引き寄せられ、抱きしめられてしまった。
「うわ、なんかめっちゃリアル。いい匂い」
首元に顔をうずめ、クンクン匂いを嗅いでいる。
ゾクッとして制止をはかる。
「進藤さん!しっかりして!ちゃんと起きて!」
「すげ~。声までリアル。なんつー夢」
「夢じゃないから!!進藤さん!」
顔を離してぼんやりした眼で見つめられる。
「進藤さんじゃなくて、椿がいいな~」
「え?つばき?」
「そう。名前で呼んで」
「……つばき……(てゆう名前だったんだ)」
にこっと笑った進藤さんは、私にキスをする。
「ん!?」
びっくりしたものの、抵抗はしなかった。
進藤さんからはお酒の匂いがした。
酔いそうなのは、お酒になのか、久々のキスになのか。
どんどん深くなる口づけ。
「んっ………ふっ……」
声にもならないような吐息が漏れる。
酔っているからか、進藤さんの舌が熱い。
彼とのキスに溺れそうになる。
「志桜里……かわいい……」
今、かわいいって言った!?
こっそり喜び、また流されてる、と気づいたが、流されてもいっか、と思ってる自分もいた。
ドキドキするも、やっぱり進藤さんの腕の中は安心できたのだ。
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