夢うつつ

3/7

489人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
突然離れたと思ったら、私から視線を外してなにやら呟く進藤さん。 「志桜里……イヤならちゃんと抵抗しなきゃ。じゃないと、前みたいに…俺勘違いしちゃうから……」 え?勘違い? 「やっと会えたのに……なんで……彼氏いるとか、先に言っとけよ、バーカ」 「や、それ、違います!私、彼氏なんていません!」 酔って夢うつつの人間に、真面目に答えても意味がないのかもしれないが、それでも続ける。 「ちょっと困ってたことがあって、会社の先輩が彼氏のフリしてくれてただけなんです!付き合ってなんかいません!」 「……彼氏の…フリ?」 「そうです!」 「……付き合って、ない?」 「そう!」 「んん〜……じゃ、俺は?」 「え?」 「……なんで、抵抗しないの?……イヤだったんでしょ?」 フラフラして焦点も定まってないのに、会話は成立してる。 本人はちゃんと意識があるのだろうか。 「イヤじゃ…なかったです」 「でも、逃げたじゃん」 「だって!あれは……セフレにされると思って……」 「セフレ?………あぁ、俺、遊ばれたのか…」 「は?!いやいや、そう思ったのは私の方で」 「あんな裸同然の格好で抱きついてきて、……悪い女だ。…耐えた俺を褒めてくれよ」 裸同然の格好で抱きついた?! なんてことしてるの!私! あぁ、やっぱり私が迫ったみたいだ。 え?でも今耐えたって言った?
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

489人が本棚に入れています
本棚に追加