繋がる想い【交互視点】

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そして戻ると、やっぱり志桜里がいる。 どう見ても志桜里、だよな? 戻ってきた俺を見て、志桜里が問いかける。 「気分はどうですか?頭は、大丈夫?」 「頭?………うん、おかしいかも。だって、目の前に志桜里がいて、俺に笑いかけてる」 「え?あ!違う違う!頭痛くない?て聞きたかったんです!ごめんなさい!二日酔いとか、大丈夫ですか?」 「……たぶん」 「昨日のこと、覚えてます?」 「昨日……志桜里が夢にでてきた。これ、まだ夢?」 「ふふ。夢じゃないです」 そう言って、やっぱり笑いかけてくる。 「え?ホンモノ?」 そう言って志桜里に近づき、頬に手をのばす。 あったかい。 「なかなか連絡しなくてゴメンなさい」 と彼女がかわいく謝ってくる。 「そうだ……俺、連絡ずっと待ってたのに…」 「なんてゆーか、緊張しちゃって、なかなか連絡できなかったんです。ごめんなさい」 緊張して? 「それに、前に居酒屋で凄く迷惑かけたみたいでごめんなさい」 「……ああ」 「それと、酷いこと言って、話聞かずに帰ってごめんなさい」 「…怒ってたんじゃないの?」 「あれは、……たぶん、私の勘違い?」 「勘違い?…彼氏がいたから、俺にムカついてたんじゃないの?」 「だから、あれは彼氏じゃないんですってば!」 彼女が必死の形相で訴えかけてくる。 「彼氏じゃない?」 「はい。店でちょっと困ったことがあって、会社の先輩が彼氏のフリをして助けてくれてただけなんです」 「彼氏のフリ……そういえば、夢の中でも同じこと聞いた気がする」 朧気(おぼろげ)な記憶を辿る。 あれは夢じゃなく現実だった?
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