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前島さんが、何か勘違いして志桜里と一緒に帰したのだろう。
「あ~、で、酔った俺をここまで送らせてしまった、てことか。申し訳ない」
今一緒にこうしていられるのは、前島さんのおかげかもしれない。
俺は嬉しいが、彼女は迷惑だったかもしれないな。
「前は逆でしたからね~。お互い様?かな?」
そう言って優しく笑う。
責められなかったことにほっとする。
「もしかして、俺がでろでろだったから帰るに帰れなかった?だとしたらホントごめん」
「あ~うん。終電なくなっちゃったし、迷ったけど、泊まらせてもらいました」
かわいく言うけど、ちょっと待て。
彼女はどこで寝た?
「もしかしてソファで寝た?体痛くない?寒くなかった?大丈夫だった?」
「あ……うん。……大丈夫、でしたよ」
歯切れが悪いのはきっと大丈夫じゃなかったんだろう。
非情に申し訳ない。
彼女が立ち上がり、食器を下げ始めたので慌てて
「ご馳走様です!美味かったです」
と言って、自分も食器を運ぶ。
そのまま彼女が洗い物を始めようとしたので、
「あ、俺がするよ」
と言って代わろうとした。
しかし、
「大丈夫ですよ、そんなに多くないから」
と言ってそのまま食器を洗い始めてしまった。
お礼を言いつつ、なんとなくその場に留まる。
彼女を近くで見下ろす形になって、ブラウスが少しはだけていることに気づいた。
男の悲しい性か、そのまま胸元を覗き込むように見ていたら、少し赤くなっているのが見えた。
「え!それ…」
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