270人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
『それで?付き合うの?』
「は?!何で?!付き合うわけないよ、あんな男!」
『あんな男?……優しそうに見えたけど、実は優しくなかったの?』
「優し……」
優しかったと言えば優しかったように思う。
気遣ってくれたわけだし。
『え、まさか志桜里が嫌がってるのに無理やり襲われちゃったとか?』
「いや、そうじゃないけど……」
『合意ならいいのよ。あんな男って言うから』
あ、心配させちゃったかな?
「あんな男、て言ったのは、無理やりされたとかじゃなくて、セフレにされそうになったからだよ」
『え?セフレになってくれって言われたの?』
「言われたわけじゃないけど…」
確かに言われてはない。
でも、私が帰ろうとしたのを阻止するために体を触ってきたり、体の相性が良いって喜んでたり、あんなの体が目当てって言ってるようなもんじゃん!
『言われたわけじゃないけど?』
「態度が!体の相性がいい女を手放したくないとか、そんな感じだったもん」
『じゃ、ワンナイトで終わらせるの?』
「もちろん!」
だからもう、昨日のことは忘れよう。
『あ、もしかして、相性が良いと思ったのは向こうだけで、志桜里はよくなかったの?』
「は?」
『満たされなかったから一晩で充分てことなのね』
美奈は何を言い出したの?なんて思ったけど、まだ記憶に新しい今朝の行為をついつい思い出してしまった。
充分過ぎるほど満たされはしたけど、そこに気持ちがあったわけではない。
だったら、やっぱり体の相性が良かったってこと?
いや、でもご無沙汰だったから…、と誰にするでもない言い訳を頭の中でしてみる。
『志桜里?』
「いや満たされはしたけどさ、いくら体の相性が良かったからといって、付き合うって話にはならないし、セフレなんてもってのほかよ!」
『なるほど。そっか。
昨夜から今朝にかけての記憶が綺麗さっぱりないわりには、合意でシたことは覚えてて、満たされたし体の相性も良かったんだね』
「!!」
『朝が遅いはず。 あ、志桜里ごめ〜ん!呼ばれたから行くね!
夜またかけ直すから、ゆ〜〜〜っくり話聞かせてね♪』
はぁ……、
私、バカだ……
最初のコメントを投稿しよう!