ありえない

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『それで?付き合うの?』 「は?!何で?!付き合うわけないよ、あんな男!」 『あんな男?……優しそうに見えたけど、実は優しくなかったの?』 「優し……」 優しかったと言えば優しかったように思う。 気遣ってくれたわけだし。 『え、まさか志桜里が嫌がってるのに無理やり襲われちゃったとか?』 「いや、そうじゃないけど……」 『合意ならいいのよ。あんな男って言うから』 あ、心配させちゃったかな? 「あんな男、て言ったのは、無理やりされたとかじゃなくて、セフレにされそうになったからだよ」 『え?セフレになってくれって言われたの?』 「言われたわけじゃないけど…」 確かに言われてはない。 でも、私が帰ろうとしたのを阻止するために体を触ってきたり、体の相性が良いって喜んでたり、あんなの体が目当てって言ってるようなもんじゃん! 『言われたわけじゃないけど?』 「態度が!体の相性がいい女を手放したくないとか、そんな感じだったもん」 『じゃ、ワンナイトで終わらせるの?』 「もちろん!」 だからもう、昨日のことは忘れよう。 『あ、もしかして、相性が良いと思ったのは向こうだけで、志桜里はよくなかったの?』 「は?」 『満たされなかったから一晩で充分てことなのね』 美奈は何を言い出したの?なんて思ったけど、まだ記憶に新しい今朝の行為をついつい思い出してしまった。 充分過ぎるほど満たされはしたけど、そこに気持ちがあったわけではない。 だったら、やっぱり体の相性が良かったってこと? いや、でもご無沙汰だったから…、と誰にするでもない言い訳を頭の中でしてみる。 『志桜里?』 「いや満たされはしたけどさ、いくら体の相性が良かったからといって、付き合うって話にはならないし、セフレなんてもってのほかよ!」 『なるほど。そっか。 昨夜から今朝にかけての記憶が綺麗さっぱりないわりには、合意でシたことは覚えてて、満たされたし体の相性も良かったんだね』 「!!」 『朝が遅いはず。 あ、志桜里ごめ〜ん!呼ばれたから行くね! 夜またかけ直すから、ゆ〜〜〜っくり話聞かせてね♪』 はぁ……、 私、バカだ……
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