募る想い

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募る想い

次会えるのはいつだろう? 進藤さんが、非番や休みの日にご飯でも食べに行こうと誘ってくれるが、ここ二週間ほどは遅番の日が続いており、退勤時間が遅い。 そうなると、翌朝から24時間勤務になる進藤さんがゆっくり休めず申し訳ないので、誘いを断ってしまっていた。 私が休みの日に限って当直日だったりして、タイミングが合わないでいた。 もともと私の休みが不規則なうえ、早出と遅出がある。 そして進藤さんは、24時間勤務で当番日と非番日、時々休日を繰り返す勤務体制なので、なかなか休みが合わず、デートができない。 私が進藤さんの休みの日に合わせて休暇を取れれば、来月からは大丈夫な気がする。 そんなふうに我慢しつつ、電話やメールはほぼ毎日していた。 それでも、やっぱり直接会いたい。 誘われた日に、一時間だけでも会えば良かったかな、なんて思ったりもした。 会えない時間が続くと、寂しさと不安が押し寄せてくる。 会いたい。 会えない。 もどかしい。 こんなふうに進藤さんのことばかりを考えるなんて、思ってもみなかった。 そうなってくると、あの想いが通じ合った日に、私の変な見栄で帰宅してしまったことを後悔してしまう。 今日も遅番で、既に21時を過ぎていた。 退勤しようとして、進藤さんからメッセージが届いていたことに気づいた。 『近くにいるから、仕事終わったら連絡して』 え? 進藤さん、来てくれてるの? 浮ついた気持ちを抑えつつ、慌てて返信して、帰り支度をする。 久々に会えると思ったら胸が高鳴った。 早く会いたくて、心なしか小走りになる。
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