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「さて。志桜里夕飯まだでしょ?どこかで何か食べてく?それから家まで送るよ」
そう言って、手を引かれながら歩く。
「進藤さんは?夕飯まだなの?」
「俺は……ごめん。さっきちょっと軽く食っちゃったけど、まだお腹いっぱいじゃないから、なんか食べるよ」
気遣って軽く食べた、なんて言ってるけど、きっと普通に済ませたんだと思う。
「ご飯食べたのに来てくれたの?明日当直なんだよね?」
「少しくらい遅くなっても大丈夫だから。二人とも休みの日とかなかなかないし、志桜里が俺の仕事を気にするから、こうでもしないと会えないでしょ」
素直に嬉しい。
「車?」
どうやらパーキングに向かっているようなのでたずねる。
「あー、車の方が時間気にしなくていいかと思ったんだけど、行きたいとこって駅前とか?」
「ううん、そうじゃないけど…」
しばし考える。
進藤さんは既に夕飯食べてるから、私に付き合わせるのもな〜。外でデートするより、家でくっついていたい、と思ってしまっている。
「家でゆっくりしたいな〜なんて…」
控えめに言ってみたが、いきなり家に誘うなんて、引いちゃったかな…
「……それ、いいの?家で二人とかなったら、俺、手を出す自信しかないけど」
「……うん……いい」
進藤さんは笑いながら言うので、冗談のつもりなのかもしれないけど、そういう雰囲気になったら、それでも構わないと本気で思った。
もしかして、誘ってるって思われたかな?
恥ずかしくなって顔が見れないけど、繋いだ手をギュッと握られる。
それに少し安心した。
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