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物音がして、慌ててそれを袋に戻して、元あった場所に置く。
何も見てない、気づいてないフリしよう。
「お先〜。志桜里いいよ」
返事をしながら振り向くと、上半身裸の進藤さんがいた。
「な、なんで裸?!」
「だって、暑いし。裸って言っても上だけだよ。知らない仲じゃないんだし、そんな照れなくても」
そんなこと言っても、あの時はそんな余裕なかったし。
触れた時はたくましい感じはしてたけど。
チラッと見る。
いいカラダしてるかも…
救命救急士といえど、消防士だから?鍛えてるのは。
顔が赤くなってきた気がするので、慌てて逃げる。
「私もお風呂入ってくる」
ドキドキしながらも念入りに洗ってしまう。
ゴムまで買っちゃって…
今夜私は進藤さんに抱かれるのかな……
悩みながらも、きっちり服を着てから出る。
髪を乾かしていたから、結構時間かかっちゃったかも…
ドキドキしていたのに、出てみて拍子抜けした。
だって進藤さん、どうやら寝てしまったようだったから。
ベッドに横になり、目を閉じている。
近づくと、規則正しい呼吸をしていた。
明日のためにはこのまま寝た方がいいだろう。
少し残念に思いながら、進藤さんに抱きつく形で横になった。
間近で彼の顔をみていると、愛しさが募ってきた。
なかなか呼べない下の名前を、小さく呟いた。
「椿……好きだよ。おやすみ」
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