募る想い

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翌朝、進藤さんに起こされる。 「志桜里。俺もう行くから。俺が出た後ちゃんと鍵閉めて。志桜里は今日も遅番だろ?そろそろ起きな」 「ん…、あ、進藤さんもう行くの?」 「こら。呼び方戻ってるぞ」 「あ…」 寝ぼけ眼で、グレーの執務服を身にまとった進藤さんを、布団の中から見上げる。 昨日急に泊まることになったのに、執務服持ってたんだ?とぼんやり考える。 「なんか、いいな。裸の彼女にベッドの中から見送られるのって」 言われて目が覚めた。 とんでもなくだらしない彼女みたいじゃん! 慌てて大きめのパーカーを羽織って、進藤さんを玄関まで見送る。 「別にベッドの中から見送ってくれても良かったんだよ?」 笑いながら言う進藤さんを少しだけ責める。 「もっと早く起こしてくれたら良かったのに」 「いや、昨日も結構無理させたからさ」 そう反撃されて、顔が赤くなる。 「めちゃくちゃかわいかった」 「も、もう!いいから!」 「ははは!じゃ、いってきます」 そう言って軽く触れるだけのキスを落とされる。 「椿。行ってらっしゃい」 笑顔で愛しい人を見送る。 はじめに体の関係を持ってしまったから、彼に惹かれていることをなかなか認められなかった。 ありえないと思っていた。 だけど、気持ちに素直になると、愛しさが溢れてきた。 人を好きになるキッカケなんて、取るに足らないことなのかもしれない。 顔が好き、声が好き、手が好き、仕草が好き。 もちろん深く知れば、イヤな面もでてくると思う。 でも今は、彼のすべてが好きだと言える。 だから、こんな恋の始め方も、アリなんじゃないかな。  - END -
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