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「きもちいーのに……」
抱きついてこようとする彼女を必死で押さえ、
「待って、て!俺だってもっとしたい!キスだけじゃなくて、その先も。だけど、その……、ゴムがないんだ……だから、したくてもできない」
と、なんとも情けない告白をする。
てゆーかそもそも、彼女にそんな気ないのかもしれないのに、何を白状してんだ、俺は。
「ふぅん?……いいよ?」
小首を傾げながら、肯定なのか疑問なのかわからない返事をするのは計算なのか?
頼りなくて加護欲を引き立てられる。
「は?いいよって、何が?」
「なくても?」
!!!!!
ホントにわかってる?!
絶対わかってないだろ!!
「ダメだ!あとで困るのは志桜里なんだからな!」
もし、そうなったとしたら、もちろん責任は取る。
だけど、こんな形で子どもを授かるより、もっとちゃんと愛を育んでからがいい。
酔ってセックスした挙げ句、身籠った、とかなったら、そこに志桜里の意志はないに等しい。
「えぇ〜?」
口を尖らせて可愛く拗ねる。
そんな顔も可愛い。
いかん!
非常にいかん!
「わかった!すぐ戻るから、ちょっと待ってて」
なんとか離れようと、そう声をかける。
「はやく、かえってきてね」
ふにゃっとした顔で言われて、そのまま彼女に飛び込んでしまいそうになった。
彼女が普段からこんなふうに男を誘うわけではない、と思うのは、さきほど美奈さんから、いつもの彼女の様子を聞いたから。
今日は今までにないほどに酔っ払っているので、きっと後で知ったら後悔するに違いない。
引きちぎられる思いでなんとか寝室を出た。
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