【おまけ】あの夜の真実

5/7

212人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
「きもちいーのに……」 抱きついてこようとする彼女を必死で押さえ、 「待って、て!俺だってもっとしたい!キスだけじゃなくて、その先も。だけど、その……、ゴムがないんだ……だから、したくてもできない」 と、なんとも情けない告白をする。 てゆーかそもそも、彼女にそんな気ないのかもしれないのに、何を白状してんだ、俺は。 「ふぅん?……いいよ?」 小首を傾げながら、肯定なのか疑問なのかわからない返事をするのは計算なのか? 頼りなくて加護欲を引き立てられる。 「は?いいよって、何が?」 「なくても?」 !!!!! ホントにわかってる?! 絶対わかってないだろ!! 「ダメだ!あとで困るのは志桜里なんだからな!」 もし、そうなったとしたら、もちろん責任は取る。 だけど、こんな形で子どもを授かるより、もっとちゃんと愛を育んでからがいい。 酔ってセックスした挙げ句、身籠った、とかなったら、そこに志桜里の意志はないに等しい。 「えぇ〜?」 口を尖らせて可愛く拗ねる。 そんな顔も可愛い。 いかん! 非常にいかん! 「わかった!すぐ戻るから、ちょっと待ってて」 なんとか離れようと、そう声をかける。 「はやく、かえってきてね」 ふにゃっとした顔で言われて、そのまま彼女に飛び込んでしまいそうになった。 彼女が普段からこんなふうに男を誘うわけではない、と思うのは、さきほど美奈さんから、いつもの彼女の様子を聞いたから。 今日は今までにないほどに酔っ払っているので、きっと後で知ったら後悔するに違いない。 引きちぎられる思いでなんとか寝室を出た。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

212人が本棚に入れています
本棚に追加