297人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
「だから覚えてないんだってば!」
『でも満たされたって言ってたよね?』
「うっ」
『記憶がないのになんで?合意でシたことは覚えてるんだ?』
「えっと~……」
『それってもしかして~、朝起きてからヤッちゃったとか?それなら記憶はあるよね~』
「美奈さん。ごめんなさい!もう勘弁してください」
ほんと、美奈の誘導尋問にまんまと嵌った自分がイヤになる。
『でも、満たされた、て言ってるぐらいだから、ムリヤリでもイヤなことされたわけでもないんでしょ?』
「まぁ、イヤなことはされてない、かな……。いや、でもなんかちょっと意地悪だった!」
『ふむふむ。その意地悪はベッドの上でのことね?なら問題なし!』
見てたの?と聞きたくなるほど勘の鋭い美奈が怖くなる。
『頂いちゃってーとは言ったけどさ、そんなに悪い人には見えなかったし、たぶん酔った女相手に無理やりってことはないかな~と思ったのよ。だからもし、あのあとヤっちゃってたとしたら、志桜里から迫ったってことの方があり得るんじゃないかって思うのよね』
「えぇ!?あり得ないよ、そんなの」
『そう思うくらいには、アンタがヤバイ状態だった、てこと!』
私から迫った、とか思いたくない。
しかもよく知りもしない相手に。
だいたい、なんでその男の人の方が信頼されてるわけ?
初対面なんだよね?
『で?進藤さんとはもう会わないの?』
「会いません!そもそも、連絡先も知らないんだから」
『そっか~。体の関係から始まるのもアリだと思うけど、志桜里、変に真面目だし、そういうのイヤがりそうだもんね』
だって、体の関係から始まるって、体の相性が良かったから好きになるってことよね?
それって、本当にその人のことが好きだ、て自信持って言える?
それに、抱かれたあとに好きになったと言われても、体が良かっただけ、とか虚しくなりそうだし、好きって言葉が軽く思えて信じられない気がする。
うん。ないな。
最初のコメントを投稿しよう!