【おまけ】あの夜の真実

7/7

242人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
頭の機能が正常に作動してないが、志桜里がなぜか俺の服を脱がそうとしていることだけはわかった。 「何やってんの?」 一応聞いてみる。 「ん~、きすまーく、つけてみたい」 キスマーク? 何故急に? そして思い出す。 居酒屋を出ようとしていた時、出入口付近の若者の団体がキスマークの話でバカみたいに盛り上がっていたのだ。それを聞いていたのだろう。 脱いでと言われ、仕方なく服を脱ぐと、志桜里が胸元あたりに、ちゅっちゅっと口づけしてきた。 …くすぐったい。 「れんれんつかない」 「もっと強い力で吸わないと」 「ん~?…あ!そーら。あらしにつけてみて~」 「は?!」 「ほらほら」 変に催促されてるけど、ホントにいいのか? 怒るなよ? そう思いながらも、胸元にちゅうっと吸い付いてキスマークをつける。 「ついた?」 「…うん」 肌が白いので、結構くっきりついてるけど、大丈夫か? 「見える?」 「あー、ほんとらー。おもしろーい。あはははは。ねえ、もっと」 「え?!」 もう知らねえ! 俺は言われたからやっただけだから、俺を責めるなよ? 気が付けば、何ヶ所か赤くなっている。 これ、やばいな。 俺がマーキングしたみたい。 ってか、これって誘われてる? いやもう誘ってるよな? ああ、もうダメだ! 「志桜里っ!」 彼女にキスをしようとして気づく。 寝て…る? 彼女はスースーと寝息を立てて眠ってしまっていた。 ……え、マジで? ……何の拷問? 一人だけ平然と幸せそうに寝やがって…… くそ!もういい! 朝起きた時にパニックになるが良い! やけくそになって、布団をかぶって彼女を抱きしめ、横になった。 まったく眠れそうにはないが、会いたくても会えなかった人が今、この腕の中にいる。 そのことが嬉しくて、とんでもなく幸せだった。 -【おまけ】あの夜の真実 (完)-
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

242人が本棚に入れています
本棚に追加