ストレスの元

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私、横田(よこた)志桜里(しおり)は百貨店で働いている。 店頭で接客をすることが多く、販売員と混同されがちだが、内勤営業と呼ばれる業種である。 百貨店には数多くのショップや売り場がある。 販売員は、自分の担当する売り場の商品だけを販売するスタッフであるのに対し、内勤営業は、ショップの枠を超えて様々な商品を案内する。そのため、幅広く豊富な商品知識が求められる。 その他にも、フロア全体を見回ったり、電話やメールでの問い合わせの対応だったり、市場調査、データ分析なども行うので事務所に勤務したりもする。 接客をしていると、一昨日のように厄介な客に出くわすこともある。 お客様である以上、理不尽でも耐えねばならない。相手の言い分を最後まで辛抱強く聞く忍耐力が必要不可欠なのだ。 こちらが強気に出られないことをわかったうえで、お客様は神様だとでも思っているのか、横柄な態度で言いがかりをつけてくる客もいる。 近年は特に、リーズナブルなディスカウントショップが多く点在し、客離れが深刻となっているので、より質の高い接客サービスが求められている。 しかも私のように、いろんなショップを回っている立場からすると、そのショップに泥を塗るわけにはいかないし、ショップスタッフへのクレームに対応しなければいけないこともある。 怒りを逆なでしないよう、言葉遣いから表情にいたるまで、細心の注意を払っている。
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