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回顧
「お疲れ〜」
「ほんっと!お疲れだよ!」
カチンッ!
今日は久しぶりに美奈と飲みにきている。
「どう?今年の新人たちは」
美奈がこう聞くのは、現在新入社員の研修中だからである。
この時期、各売り場に新人が散りばめられていて、私も、接客対応の仕方など気になることがあれば声をかけている。
「まだなんとも……美奈の方は?新生活応援フェアはもう終わりでしょ」
「まぁね。でもすぐ、九州物産展よ」
美奈は販売促進部で、イベントやセールの企画運営をおこなっている。
季節ごとのイベントはもちろんのこと、突発的なフェアなども企画して行っている。催事場エリアは常に配置換えされていて忙しそうだ。
「物産展もさぁ、出店するのは馴染みの店が多いから、そろそろ入れ替えが必要だと思うんだけどね。調査なら私喜んで行くのに」
「いいなぁ、それ。仕事だって言って堂々と九州旅行するんでしょ?私も行きたーい」
「それを思うとバイヤーでも良かったかな~。売れそうな商品探して全国各地を回れそうじゃん!なんなら海外もアリだし!」
百貨店には、商品を買い付けて仕入れを行うバイヤーという業種がある。
どんな商品がどれくらい売れそうかという目利きが必要だし、売れ行き傾向のリサーチは常に行わないといけない。
「でもさ、バイヤーも大変そうだよ~。去年だったかなぁ?同期の金井くん、どっかの店で売れてるからって、うちにも仕入れたけど、読みが外れて大量の在庫かかえちゃってさ、大目玉くらってたよ~」
「それは金井がアホなだけ」
「アホって……」
相変わらず美奈は辛口だ。
「だってそうでしょうよ。安易に他店で売れてるからって。店のブランド力も客層も違うんだから、同じように売れるわけないじゃん」
「まぁ、それはそうだけどね」
流行はあるけれど、店舗によって客層が違ったりするので、どういう商品が好まれるかはまた違ってくる。
地域によって売上も様々だ。
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