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「じゃあ……坂上さんとか?」
「なんで坂上さん?」
「仕事できるし、頼れる年上。おまけにイケメン」
「尊敬はしてるけど、恋愛対象としては見たことないよ」
「あんなにイケメンなのに?」
「イケメンは関係ないでしょ。美奈だって、イケメンだからって好きになるわけでもないでしょ?」
「関係なくはないよ。顔が良いとずっと見てられるし」
確かにイケメンだとは思う。
でも、好みかと言われれば話は別で。
「それでも、性格の方が大事でしょ?そもそも坂上さんにも選ぶ権利があるしね」
「てことは、志桜里的にはアリなのね」
「いや、だからそんな目で見たことないってば」
「なんで?なんで恋愛対象から外しちゃうのよ~」
なんで?と言いたいのはこっちだ。
なぜ美奈は職場の人を恋愛の話に巻き込むのか。
「同じ職場とか、仕事しづらいでしょ!」
「男女の出会いの場ナンバーワンは社内だよ。それに、事務所の中でずっと一緒にいるわけじゃないんだし」
「それはそうだけど…」
なんだろう?
確かに、坂上さんは男性としては魅力的な人だとは思うけど、何かがブレーキをかける。
売上至上主義なところとか、会話の端々に、ちょっと冷酷に感じてしまう部分があるからだろうか。
「ご飯誘われたら行く?」
「行ったことはあるよ」
「キスとか迫られたらできる?」
「やめて。考えたくない。顔合わせらんないよ」
美奈は、どうしても坂上さんを、私の恋愛対象にもっていきたいらしい。
「志桜里はさ、どういう人がタイプなの?」
「タイプか~…。怒鳴らなくて私を大事にしてくれる人、かな~」
「それ、元カレと比べてない?あれはハズレだからね!」
「ハズレって。でも、ちょっとトラウマになっちゃったもんな~」
去年付き合っていた篤志とのことは苦い思い出で、あまり思い出したくはない。
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