認めたくない恋のはじまり

回顧

考えにふけっていて返事をしない私を諦めたのか、美奈がその話は終わりだと言わんばかりに話題を変えた。

「まぁ、志桜里がイヤだって言うなら、もういいけどさ。それに、私も志桜里の世話ばっか焼いてらんないんだよね〜。もう28だし、そろそろ真面目に将来のこと考えなきゃ」
「…え？」
「え？て何よ。私あんたと二つ違うのよ」
「いや、それは知ってるけど、そうじゃなくて。真面目に将来のことって、もしかして結婚とか考えてたりするの？」
「そりゃ考えるよ」

美奈が結婚……なんだか、結びつかない。

「30までに結婚しようと思ったら、チャンスは一回かな～て。あ、でも、巻きで付き合ったら一年以内で結婚までもっていけるか。
だとしてもチャンスは二回か～、ちょっと焦るぅ〜、みたいな？どこかにいいイケメン転がってないかな〜」

巻きで付き合うって何？
いまいち本気度がわかんないけど……

ん？どこかにイケメン転がってないかな？

「てゆーか、美奈彼氏いるじゃない！その人との結婚は考えられないの？」
「あんなのとっくに別れてるし」
「え！いつのまに…」

彼氏の話はところどころで出てはいたものの、相談といえるような話なんてされなかったな、と今更ながら気づく。

「そういえば美奈に恋愛相談されたことないかも」
「ん？だって、志桜里に相談するほど悩むようなこともなかったしね。志桜里の話聞く方が面白かったし」
「おもしろ…？」

私の恋バナっておもしろかったの？
あんなに真剣に怒ってくれたりしてたのに…

「あ！違うよ？志桜里が悩まされてるのが面白いとかじゃなくて、なんてゆーか、波乱万丈！みたいなところがね。平凡に付き合って平凡に別れるとか、盛り上がりに欠けるもの」

盛り上がりに欠ける？恋愛してるのに？

恋愛中って、凄く些細なことでも一喜一憂できると思うのに。
美奈はドライな付き合いなの？

今度詳しく美奈の話を聞いてみたい。