あの夜のこと【美奈 視点】

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軽く自己紹介をする。 はじめに目があった男性は進藤と言い、隣の眼鏡をかけた男性が木原と名乗った。 二人は学生時代の同級生らしい。 木原さんは、出張でこちらに来ているらしく、スーツ姿だった。 それとは対照的に、進藤さんはラフな格好をしていたから不思議に思ったが、今日は当直明けの非番日だと言っていた。 当直がある仕事……もしかして、医者?!と一瞬目が輝いたのだが、違った。 私達はなんとなくフルネームを教えたくなくて、下の名前だけ名乗った。 百貨店に勤務していることは言ったが、店舗など具体的な名前は伏せた。 その後も、志桜里を見ていると、びっくりするほど進藤さんとの距離が近い。 少し前まで男性を敬遠してたので、ちょっと信じられなかった。 酔っぱらってるから? 進藤さんを容赦なくアゴで使ってるし、普段ならこんなこと絶対しないだろうに。 ただ隣に居合わせただけの進藤さん、ごめんなさい。 あなたは今日運が悪かったようです。 でも、進藤さんも満更でもなさそう? さっきから、こぼしたら拭いてあげたり、料理を取ってあげたり、なんやかんやと甲斐甲斐しく世話をやいている。 ちょっと私の役目を取られたようで面白くないけど、優しそうな人だと感じた。
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