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「仕事何時に終わる?」
「え?あ、いや…それはちょっと…」
「は?なんだよ、嫌なのかよ!メシぐらいいいだろ!」
急に威圧的な言い方になり、むかしを思い出して委縮してしまう。
やっぱり今でもこういう接し方なんだ、とすごく悲しくなった。
口調が気に入らないからご飯に誘うなら、くだけた口調にすればいいの?
でもたぶん、そういうのじゃないような気もするけど…
一応抵抗してみよう。
「今夜はちょっと予定があって……そ、それより、何か、買いに来たんじゃないの?」
私がくだけた口調になったことで少し気をよくしたのか、ご飯の話から本来の目的に軌道修正することができた。
「あ?あぁ、 スーツのオーダーメイドでも、と思って来たんだけど、どういうのがいいかわかんなくて……そうだ!志桜里が選んでくれよ!」
え…?オーダーメイドスーツ?
こういうのにお金かける人だったっけ?
まあ、プライドは高いからあり得なくはないのかもしれないし、客である以上案内しないわけにもいかない。
「えっと、何かこだわりとかは、あるの?」
「ないよ。志桜里に任せる」
え?
いやいや、全部任されても困るし。
「えっと、オーダーメイドは初めて?」
「……なんだよ。それ何か関係あんのか?」
不機嫌そうに答える篤志に不安になる。
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