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「横田!?どうかした?」
「坂上さん!」
何か商品を引き取りにでも来たのだろうか。
タイミングよく現れた坂上さんが、救世主に見えた。
坂上さんが、篤志に向かってたずねる。
「お客様、うちのスタッフに何か不手際がございましたでしょうか」
自分より背の高い男性が現れたことで、篤志がちょっと怯んだような気がした。
それでも不機嫌なまま篤志が答える。
「あぁ。スーツ作りに来たんだけど、どういうのがいいかわからなくて相談に乗ってくれって言ったんだけど、こいつの態度が悪くてよー。人を見下したように、その辺の安いスーツすすめてきやがったんだ!」
「それは大変申し訳ございませんでした。私でよければお話お伺いいたしますので、あちらへどうぞ!」
売り場の奥を手で示す坂上さん。
笑顔なのに、なんだかちょっと怖い。
でも、奥に案内してくれるのは助かる。
「……いや、今日はもう気分が乗らないから帰るわ。おい、志桜里!お前、今度来た時はちゃんとしろよ!」
そう言い捨てて帰っていった。
「誠に申し訳ございませんでした。またのお越しをお待ちしております」
そう言って頭を下げる坂上さんに続いて、私も急いで頭を下げる。
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