予期せぬ客

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「それで、横田さんの友人だって言うから、話の流れで横田さんのこといろいろ喋ってしまったんです!すみません!」 「いいよ。大丈夫」 本当はあんまり良くはないけど、知り合いであることは間違いないので、スタッフさんにベラベラ喋るな、とも言えない。 篤志には、私が勤務している店を教えたことがあるし、紳士服売り場での話をしたことがあるので、この売り場のスタッフだと思って、私の話題を振ったのかもしれない。 「でも、あとで冷静に考えたら、友人だって言うわりには、最近の横田さんのことは知らないみたいで、やたら横田さんの話聞きたがってたし、なんか質問もちょっとおかしくて。もしかしたら横田さんのストーカーなのかもしれないって思えてきて…」 その話を聞いて、一瞬にして凍り付く。 なんで? なんで私の話を聞き出そうとしてるの? 私はまだ解放されてないの?   「横田、大丈夫か? 顔色悪いぞ」 「……あ、いえ。大丈夫、です。……でも、ちょっと休憩してきます」 また来る、と言い残した言葉が本気かどうかわからないが、もし、篤志の目的が本当に私であるならば、売り場のスタッフに迷惑をかけるわけにはいかない。 なので、また篤志が来たらすぐ私に連絡をして欲しいと言って、その場を後にした。 でも、今さら、何が目的?
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